2025年3月23日 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第600回です。

 パレスティナ、ウクライナ詠、反トランプ詠は、俳句に4、短歌に4、ありました。後ろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

たつぷりと・裾綿いぢわる・さうな雛(ひな)

                   (横浜市 長井はるみ)(小林貴子選)

 

 

(いかなる経験が共感させるのだろうか、不思議だ。)

 

 

啓蟄や・後ろから鳴る・フルトップ (相模原市 渡辺一充)(小林貴子選)

 

 

(電車内らしい。一仕事が終わって缶ビール。みごとな切取り。)

 

 

蝶々(ちょうちょ)飛ぶ・ベンチで食べる・ハムサンド 

                  (小平市 倉持聡美)(小林貴子選)

 

 

(なんでもなさそうなところが良い。)

 

 

すみれ咲く・潮風のなか・原発群 (いわき市 佐藤朱夏)(高山れおな選)

 

 

(この原発群にはゆるみ、なじみさえ感じさせられる。感性の鈍麻だろうか。)

 

 

殺人へ・頁をめくる・春夜かな (東京都中野区 吉田徹夫)(高山れおな選)

 

 

(春の夜のあやしさを詠んで秀逸。)

 

 

大国に・食ひ散らさるる・寒さかな  (福島県伊達市 佐藤茂)(長谷川櫂選)

 

 

(反トランプ詠、ウクライナ詠、パレスティナ詠)

 

 

大国が・商国となる・春哀(かな)し (東京都府中市 志村耕一)(長谷川櫂選)

 

 

(反トランプ詠、ウクライナ詠、パレスティナ詠)

 

 

あめりかの・かくも貧しき・荷風の忌 (日立市 川越文鳥)(長谷川櫂選)

 

 

(反トランプ詠、ウクライナ詠、パレスティナ詠)

 

 

トランプの・葬式の日を・思う春 (広島市 徳田七恵)

 

 

(反トランプ詠)

 

 

【短歌】

 

 

浜風に・乾かす古き・蛸壺に・猫眠りをる・昼下がりの島 

                  (さいたま市 齋藤紀子)(永田和宏選)

 

 

(西行とはちがって、こういう所で命を終えたい。)

 

 

遺体収容・任務で味方の・兵探す・ウクライナ女性・志願兵 

                  (佐久市 五十嵐芳孝)(馬場あき子選)

 

 

(ウクライナ詠。)

 

 

アメリカは・世界の警察・だったのに・今やすっかり・ベニスの商人 

                  (松阪市 笛木敏子)(佐佐木幸綱選)

 

 

(反トランプ詠、ウクライナ詠、パレスティナ詠)

 

 

ともかくも・トランプのこと・処理せねば・退行ばかりで・進歩生れず 

                         (葛飾区 猛田貞一)

 

 

(反トランプ詠)

 

 

トランプの・時計の針は・スピードが・速くはあるが・逆回りなり 

                         (千葉市 西田三千子)

 

 

(反トランプ詠)