2025年3月4日
トランプの経済政策が長続きしないことについては異論のないところである。
世界経済の相互依存の深化、サプライチェーンのグローバル化を無視した近隣窮乏化的政策は、アメリカ自体に直接的打撃となり、また対象国のみならず全世界的にもマイナス効果が波及し、アメリカにその影響も返ってくる。
その結果、国民の支持を失ってトランプの静かな退場となればハッピーであるが、そうは問屋が卸さない。
トランプは支持の回復を狙って派手な外交成果をあげようとするのは目に見えている。
視覚的に効果の高い政策を演出して、経済政策の失敗を乗り切る作戦に移るだろう。
それがパナマになるか、グリーンランドになるか、カナダになるか、はたまた我が国になるか、トランプの判断だから予測は困難である。
難癖をつけるのに理屈も何もあったものではない。ヤクザの世界では「眼(がん)をつけたな」で攻撃の理由になるのである。
対象とされた国、そしてその国民はたまったものではない。
トランプに狙われた不運を嘆くしかない。
今や、ロシア、中国、北朝鮮よりも、トランプのアメリカが世界で最も危険な国となった。
ロシア、中国、北朝鮮には外部からの抑止要素があるが、トランプ・アメリカにはそれが効いていないからである。
トランプは第3次世界大戦、核ミサイル戦争以外の何にでも手を付ける可能性がある。
スターマー・イギリス首相は「われわれは歴史的転換点にいる」と語ったがそのとおりである。
トランプ世(ゆ)では「法の支配」という言葉が合言葉ではなく死語となり、「トランプの恣意」「理不尽の支配」の世界となってしまうのである。
我々が「国民的覚悟」を迫られる事態も近づいていると考えるべきであろう。