2025年2月2日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第593回です。
ウクライナ詠パレスティナ詠、歌壇に5首、俳壇に1句ありました。後ろに掲げます。
【俳句】
福島の・遠き未来の・春を待つ (福島県伊達市 佐藤茂)(長谷川櫂選)
(人為を超えるところにそれはあるのだろう。)
書に倦(う)みて・枯野のこゑを・聞きにゆく (柏市 物江里人)(大串章選)
(枯野は多くを語るだろう。)
おじさんと・うしろにドスン・大こ引く
(東京都練馬区 小池来翔)(高山れおな選)
(おじさんもうれしかったはず。)
冬の葬・まるで子どもの・ときの顔 (秩父市 浅賀信太郎)(小林貴子選)
(円満成仏、めでたきかな。)
プーチンの・正義は知らず・鬼は外 (いわき市 開発廣和)(長谷川櫂選)
(ウクライナ詠)
【短歌】
やうやくに・イルミネーション・外されて・駅の枯木は・芽吹く準備す
(下関市 内田恒生)(佐佐木幸綱選)
(あのイルミネーションは不自然、不健全との心情に同感。)
オリオンの・三ツ星うすれ・ゆく夜明け・一人暮らせる・息子を思う
(福山市 倉田ひろみ)(高野公彦選)
(日本中で老いたる母親が冬の夜明けに「オリオンの三ツ星」を見上げている。)
寒雀・ちよちよつと道に・まかり出で・夜勤の老いの・帰宅労(ねぎら)う
(さいたま市 春日重信)(高野公彦選)
(その寒雀、神の使いなり。)
異国にて・消耗品の・如くにも・戦地に骸(むくろ)・晒す兵士ら
(松戸市 加賀昭人)(馬場あき子選)
(ウクライナ詠)
ロシア領・迂回して飛ぶ・欧州便・戦争の余波・空にも及び
(西東京市 荒木わたる)(馬場あき子選)
(ウクライナ詠)
白布(はくふ)巻かれ・繭となりたる・幼な児よ・来世は生(あ)れよ・戦(いくさ)無き地に (桐生市 村松正敏)(高野公彦選)
(パレスティナ詠)
戦争で・知った国名・ウクライナ・能登もかなしい・ガザもかなしい
(成田市 かとうゆみ)(永田和宏選)
(ウクライナ、パレスティナ詠)
人骨を・玩具に遊ぶ・子どもらを・瓦礫の街に・カメラは捉ふ
(大津市 船岡房公)(永田和宏選)
(パレスティナ詠)