2024年12月27日
数十年前、西国のある地方都市で勤務していた時代、某料亭での忘年会で面白いことがあった。
忘年会の最中ではなく、散会後のことである。
トイレに行っていたためか、女将と話し込んでいたためか、小生が店を出る最後の客となった。
さて玄関で靴を履こうとすると、残っている靴は、なんと二つとも右側なのであった。
サンダルを借りて帰ることはできるにしても、二軒目に回るのはあきらめなくてはならない。
そもそも靴一足をなくしたのと等しい事態だ。
店の方としてもこれは弁償しなければならないと気がついて慌てている。
しばらくして、どうも靴の履き心地がヘンだと、同じ忘年会メンバーの一人が戻ってきた。
人は酔っぱらうと、右足に左の靴を履いても気がつかないまでになってしまうのだ。
他人の靴を履いてしまうというのはよくある話だが、片方だけ、しかもこのような間違いというのは他に聞いたことがない。
戻ってきた人の、そのばつの悪そうなとぼけた顔を思い出すたびに吹き出してしまう。
忘れてしまうのはもったいない、この世に稀な貴重な経験なので、季節の話題として記しておくことにする。
それではみなさま、よいお年を!