2024年12月8日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第585回です。
ウクライナ詠パレスティナ詠は歌壇に2首、俳壇にはありませんでした。後ろに掲げます。
【俳句】
天高し・一人旅する・余生かな (東久留米市 村上芳子)(大串章選)
(「一人旅する」を文字どおり捉えず、「たとえ」として読んだ。)
封のまま・捨てる親展・冬支度 (香芝市 土井岳毅)(高山れおな選)
(何を捨てたのだろうか?)
何処かから・来てここにある・木の実かな
(西東京市 濱田朝子)(高山れおな選)
(哲学的俳句。)
木枯(こがらし)が・子供の声で・やつて来る
(甲府市 村田一広)(小林貴子選)(長谷川櫂選)
(たしかに木枯しははしゃいでいる。)
人生と・いふ素うどんの・葱刻む (和歌山市 佐武次郎)(長谷川櫂選)
(自分はどういう味付けをしたのか、という思いを惹起させる発展性のある一句。)
【短歌】
もうきみが・賀状を出せぬ・お知らせが・奥さんの名で・届く晩秋
(和泉市 星田美紀)(高野公彦選)
(賀状をめぐるドラマさまざま。)
コスモス咲く・江戸川の辺の・クルミの秀(ほ)に・尾をまわしつつ・モズが高鳴く
(松戸市 猪野富子)(馬場あき子選)
(叙景に徹したさわやかさ。)
部屋からは・遠くの星が・見えるけど・黒煙上げる・街は見えない
(札幌市 橘晃弘)(永田和宏選)
(ウクライナ、パレスティナ詠。選評で「黒煙上げる街」がウクライナ、ガザの街と知る。)
ウクライナの・父母(ちちはは)のため・給料の・半分送金・するという獅司関
(観音寺市 篠原俊則)(馬場あき子選)
(ウクライナ詠。)