2024年12月4日
(詳しい情報が、筆者の不勉強もあって、ほとんどない。以下の記述はそういう、どうしようもなく無責任な限定的情報のもとでのものである。)
本来、権力を掌握しているはずの大統領のクーデターというのはあり得ない。言語矛盾的事態である。
しかし、韓国ユン大統領はそれをやろうとした。
大統領としての権力行使が自分の思いどおりにいかない事態に立ち至って、短気を起してしまったのであろう。
戒厳令によって議会を停止し、言論活動も封じるという乱暴な選択をしたのである。
客観的に見れば、大統領としての権力行使の余地はまだまだ十分にあるはずだった。
その余地を活用して、反対勢力との妥協も甘受しつつ、自己の主張する政策の実現を図るというのが政治家というものだ。
ユン大統領がその道をとらなかったのは、政治経験の不十分さ、検事という特殊な権力のもとで仕事をしてきたことにより形成された非妥協的な性格といったものに起因すると思われる。
民主主義というものは本来的に馬鹿げた田舎芝居的要素を持つものだが、そのような民主主義の本質についての理解不十分がユン大統領にあったとも言えるだろう。
クーデターが成立するためには、反対勢力に対する圧倒的な武力的優位が必要である。
ニュースで見るかぎり、今回、韓国軍の登場はデモ隊と抑制的に衝突する少人数の 武装兵、議事堂へのヘリ1機の飛来だけである。
銃火器の発砲はなく、戦車、装甲車の登場もない。
韓国軍は動いていない。ユン大統領は軍最高司令官の地位にいるはずだが、韓国軍を動かしていない。動かそうともしていなかったのではないかと思われる。
クーデターを行おうとする者として粗忽というほかはない。計画性がない、覚悟がないというほかはない。
(朴正煕大統領暗殺事件直後に発生した全斗煥によるクーデター(1979年)を描いて大ヒットした韓国映画「ソウルの春」をユン大統領が観ていないはずはない。それを観ていれば軍の掌握が何よりも基本であることをユン大統領が看過することは考えにくいのだが‐‐‐)
(ひるがえって、日本の自衛隊の事も考えざるを得ない。自衛隊にクーデター抵抗性は十分にあるだろうか?組織全体として、また一部部隊、一部幹部といった単位で考えて大丈夫だろうか?そこらへんの点検は一体どこの誰がやっているのだろうか?)
報道によれば韓国野党はユン大統領を内乱罪で告発したとのことである。
今後の政治的動きを見てみなければわからないが、また韓国刑法の規定ぶりを見てみなければわからないが、事柄としてはクーデター未遂であり、日本国刑法での内乱罪に該当する可能性は高く、日本では首謀者は死刑又は無期禁錮に処せられる。
韓国でも重罰は免れないであろう。
茶目っ気があり、日韓友好という意味では、最悪だった日韓関係の改善に大きな貢献をした大統領であっただけに、ユン大統領にはお気の毒と言うほかはない。