2024年12月1日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第584回です。
ウクライナ詠パレスティナ詠は歌壇に1首、俳壇に1句ありました。後ろに掲げます。
全般的に、世界情勢の深刻化、重大化を前に、日々の生活を扱う俳句短歌の色が著しく褪せてきているように感じられます。
【俳句】
腸(はらわた)を・晒(さら)すアメリカ・秋黴雨(あきついり)
(東京都足立区 三角逸郎)(長谷川櫂選)
(全世界に不幸をまき散らしそうなトランプの不気味。嫌悪するもの、懸念するもの、他に俳句1句、短歌4首。)
帰郷して・最後と思ふ・月仰ぐ
(志木市 柴田香織)(長谷川櫂選)(大串章選)
(「帰郷」という「特別」が日常性の中への「最後」の解消を許してくれない。然らば我々の「最後」への対処法は?)
出エジプトの・裔(すえ)の暴虐・冷(すさ)まじや
(岡崎市 兼松正直)(長谷川櫂選)
(パレスティナ詠。)
【短歌】
続々と・赤が占めゆく・速報地図を・暗澹(あんたん)として・見詰めをりけり
(水戸市 檜山佳与子)(永田和宏選)
(ならずもの指導者、ならずもの国家の重大な追加を懸念する短歌の一つ。)
プーチンの・野望のために・戦死する・ソビエト、ウクライナ・北朝鮮の兵
(敦賀市 竹内展子)(高野公彦選)
(ウクライナ詠。)