2024年11月24日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第583回です。

 ウクライナ詠パレスティナ詠は歌壇に4首、俳壇にはありませんでした。後ろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

月の夜は・水琴窟に・なる地球 (茨木市 瀬川幸子)(小林貴子選)

 

 

(シュール!)

 

 

朝刊の・はや焼藷(やきいも)の・包み紙 (神戸市 栗山恵子)(長谷川櫂選)

 

 

(情報というものの本質に迫る、深刻なような滑稽。)

 

 

木枯(こがらし)が・突つ切つて行く・赤信号 (浜松市 久野茂樹)(大串章選)

 

 

(わずらわしい、規則づくめの世間を吹っ飛ばす、きっぱり感、さわやかさ。)

 

 

【短歌】

 

 

盗癖の・女も居たり・偏奇館・確率なれば・それもあるべし 

                        (市川市 篠田俊三)

 

 

(美女であり、荷風はそれを受容したと思われる。もちろん過去形で。)

 

 

北朝鮮兵・十八人が・脱走と・聞けば眼に浮かぶ・ロシアの曠野 

                     (福島市 澤正宏)(永田和宏選)

 

 

(ウクライナ詠。)

 

 

食べ物が・廃棄をさるる・国で見る・皿を差し出す・無数の腕(かいな) 

                    (鹿嶋市 大熊佳世子)(永田和宏選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

どちらかが・滅びるまでは・終わるまい・あるいはどちらも・滅びるまでか 

                    (朝霞市 岩部博道)(永田和宏選)

 

 

(ウクライナ、パレスティナ詠)

 

 

姉妹の髪・お揃いに結う・母の居て・悲しみのガザに・小さな日常 

                     (茨城県 原里江)(高野公彦選)

 

 

(パレスティナ詠)