2024年7月21日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第566回です。

 ウクライナ詠・パレスティナ詠が歌壇にも俳壇にもありませんでした。

 

 

【俳句】

 

 

あめんぼや・命の軽(かろ)き・水の星 (津市 櫻木博文)(長谷川櫂選)

 

 

(パレスティナ詠ウクライナ詠とストレートにいえるものが無かったので、この句を挙げさせていただきました。)

 

 

病める身の・形代へ吹く・息深し (高山市 大下雅子)(長谷川櫂選)

 

 

(自己の肉体の客観視。)

 

 

隠沼(かくれぬ)を・見つけて浮かぶ・梅雨の月

                 (仙台市 柿坂伸子)(大串章選)

 

 

(発見者がすごい!擬人法がすごい!)

 

 

泳がねば・沈むほかなき・海月(くらげ)かな (いわき市 馬目空)(大串章選)

 

 

(プロレタリアート。泳がなくても浮いていられるものをブルジョアジーという。)

 

 

純愛は・心中で終わる・江戸の恋 (流山市 東田十歩)

 

 

(季語が無いが、「江戸」というのは一つの季節と考えてもよいのではないか?)

 

 

【短歌】

 

 

年取ると・見知らぬ我が・しゃしゃり出て・恥かくことが・多くなりけり 

                   (三郷市 木村義熙)(高野公彦選)

 

 

(その「見知らぬ我」とは「年取った我」なり。)

 

 

こんなこと・してていいのか・私いま・今日の数独・まだ終わらない

                 (白岡市 嶋津フサ子)(永田和宏選)

 

 

(トーマス・マン「魔の山」の結核療養所では「11」というトランプ占いをやめられない人びとが発生する。)

 

 

悪魔でも・ためらう仕打ち・する悪魔・アマスポーツの・ビューロクラシー 

                        (文京区 林田三津代)

  

 

(女子体操選手のオリンピック出場辞退事件、ビューロクラシーの非人間性をあらためて痛感させられる。)

 

 

ジョーカーが・引かれ美利堅(メリケン)・乱れ打ち・世界のゲーム・先行き不安

                         (佐世保市 丸田憲二)

 

 

(国際協調には、合理性と忍耐が必要なはずなのだが、トランプは真逆だ。(なお、大阪の「ビリケン」の語源はこの「美利堅(メリケン)」にあると筆者は考えている。))

 

 

いづこより・篠突く雨の・棚下に・アゲハ一頭・逃げ来たりけり  

                        (小野田市 下田五郎)

 

 

(ふところに入る窮鳥と比べてアゲハは静か、それゆえの情も増す。)