2024年7月7日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第564回です。

 ウクライナ詠・パレスティナ詠が歌壇に1首、俳壇に2句ありました。後ろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

朝顔の・支柱今年は・二階まで (いわき市 馬目空)(長谷川櫂選)

 

 

(「釣瓶とられてもらい水」と同じ精神。)

 

 

島の子の・水着のままの・行き帰り (大阪市 今井文雄)(大串章選)

 

 

(ほんとうに夏らしい。)

 

 

ほうたるを・逢瀬のごとく・深く追ふ

           (東京都中野区 このみていこ)(小林貴子選)

 

 

(「理由わからず」ということか。)

 

 

キリギリス・夜店で買って・ナス切って  (川西市 丸田百代)

 

 

(連続の連用形がそれが思い出であることを示唆している。)

 

 

風吹けど・桶屋まで来ぬ・儲けかな (深谷市 澄田公三)

 

 

(岸田内閣経済政策批判。)

 

 

キリギリス・鳴かれ恥ずかし・新幹線 (渋川市 薄田八十助)

 

 

(新幹線に持ち込んだ孫への土産が車内で鳴き始めた。)

 

 

蟻地獄・ちから渦巻く・くにざかひ (福島県伊達市 佐藤茂)(長谷川櫂選)

 

 

(ウクライナ詠。)

 

 

空爆の・なき空涼し・星あそぶ (東京都杉並区 漆川夕)(長谷川櫂選)

 

 

(ウクライナ・パレスティナ詠。)

 

 

【短歌】

 

 

結婚を・考えなくて・良いなんて・なんて素敵な・老いらくの恋 

                 (明石市 埜藤裕子)(高野公彦選)

 

 

(一般的制度としての結婚は、たぶん、遠からず消滅するのではないか。)

 

 

栞紐・誰(た)が挟みしや・ひとすじの・凹(くぼ)みかすかに・残りてしずか 

                  (箕面市 大野美恵子)(永田和宏選)

 

 

(同じ読書体験をした誰かへの、かすかな親近感。)

 

 

飲まずとも・美人に見える・女(ひと)増えり・老後に神の・ご褒美ならむ 

                         (山栖市 和田三崖)

 

 

(人徳の成したるものでございませう。)

 

 

ウクライナの・平和を願ふ・メッセージ・カード受けたり・無言館出口

          (鹿嶋市 大熊佳世子)(馬場あき子選)(高野公彦選)

 

 

(ウクライナ詠。)