2024年4月28日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第555回です。

 ウクライナ詠、パレスティナ詠が歌壇に3首、俳壇にはありませんでした。後ろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

居酒屋の・天麩羅残る・花疲 (岡山市 西崎秋子)(大倉白帆選・岡山版)

 

 

(一句で花見の一日を尽くしている。)

 

 

花の杜(もり)・幾多の男・征(ゆ)かせたり

                  (一宮市 岩田一男)(長谷川櫂選)

 

 

(「花散る」美学を盗用悪用したのは国家だ。)

 

 

追ふ蝶も・追はれる蝶も・遊びをり (多摩市 金井緑)(大串章選)

 

 

(遊びせんとや生れけむ。)

 

 

荷風の忌・セルフレジにて・豆腐買ふ (東京都板橋区 藤倉信)(高山れおな選)

 

 

(荷風は男おひとりさまの大先生だ。手元にまったく不安のないという人ではあったが。)

 

 

【短歌】

 

 

無い知恵を・絞って脱法・穴作り・行くところまで行く・金権自民 

                         (東京都大田区 森田平三)

  

 

(こどもの頃、「こすい」といった。漢字で書けば「狡い」。「狡猾」の「狡」だ。)

 

 

藤棚の・花房たわわ・躊躇(ためらい)を・捨てて集まる・クマンバチたち 

                        (岡山県和気町 吉田茂七)

 

 

(羽音高く、傍若無人の感がする。)

 

 

奴(やつ)の弔辞・考えていて・ふと気づく・先に逝くのが・奴とは限らず 

                         (東京都荒川区 太田一政)

 

 

(不調と聞いてついつい考えてしまったりする。)

 

 

人間の・形に白き・布巻かれ・遺体がガザの・瓦礫に並ぶ 

                   (観音寺市 篠原俊則)(永田和宏選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

ウクライナの・攻撃止めぬ・プーチンが・テロの死者には・十字切りをり 

                    (浜松市 松井惠)(永田和宏選)

 

 

(ウクライナ詠)

 

 

父母なき子・子のなき父母の・増えつづく・カザに今宵も・月まるく冴ゆ 

                  (京都市 小池ひろみ)(馬場あき子選)

 

 

(パレスティナ詠)