2024年3月31日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第551回です。
ウクライナ詠、パレスティナ詠が歌壇に4首、俳壇にはありませんでした。後ろに掲げます。
【俳句】
今年蒔く・種を残して・逝きにけり (静岡県河津町 岩城紀子)(大串章選)
(これはいい逝き方だ。)
理容師に・春の頭を・注文す (東京都板橋区 竹内宗一郎)(高山れおな選)
(これはいい注文の仕方だ。)
ビル包む・やはらかな雨・納税期 (草津市 佃恵美子)(高山れおな選)
(事務所内での納税申告作業を雨がいたわってくれているの図。)
【短歌】
胸の奥・ずきんと突き刺す・二人の名・年賀はがきに・並びてあれば
(小平市 篠原美奈子)(永田和宏選)
(同級生婚とか職場婚とか、こういうことを惹き起こす。)
終活の・最中(さなか)にひょいと・顔出せり・お世話になった・赤尾の豆単
(加東市 藤原明)(高野公彦選)
(次の世代は「森の出る単」、さらに「森の出る熟」となる。)
舞い狂う・菜の花畑の・つがひてふ・カメラ向ければ・照れて飛び去る
(松山市 太田雅二)
(「つがひてふ」、すなわち「番い蝶」ということ。)
知性欠く・ダーティー政治家・失脚す・谷吹き渡る・春のそよ風
(松本市 森田幹一郎)
(今週中と言われている党処分において、画竜点「森」を欠くということにならなければ、そういうことになる。岸田はやれるだろうか?)
ハルキウの・地下鉄の駅・空見えぬ・教室があり・児ら学びいる
(観音寺市 篠原敏則)(馬場あき子選)
(ウクライナ詠。)
熱冷めた・ように減りたる・報道に・反比例する・ガザの苦しみ
(つくば市 山瀬佳代子)(佐佐木幸綱選)
(パレスティナ詠)
徴兵を・避けるがために・祖国捨つ・若きらに酷(むご)し・ふたつにひとつ
(札幌市 川合優子)(佐佐木幸綱選)
(ウクライナ詠。)
「脚はもう・ないのに足が・痛む」と言う・ベッドの上の・ウクライナ兵
(観音寺市 篠原敏則)(高野公彦選)
(ウクライナ詠。)