2024年3月17日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第549回です。

 ナワリヌイ氏の死を扱ったものが3首ありました。ロシア批判のものとしてウクライナ詠として整理し、後ろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

吾に似ぬ・貌(かお)窓にあり・夜の雪 (小平市 本多達郎)(高山れおな選)

 

 

(反射で外は見えず、自分が窓に映っている。)

 

 

雛の間へ・寝るという児(こ)の・自立かな 

                  (川口市 小松トシ子)(高山れおな選)

 

 

(ほほえましき「自立」。)

 

 

九十四・今年も違ふ・春が来る  (川崎市 山本しげを)(小林貴子選)

   

 

(九十四の権威が反論を許さない。)

 

 

春眠や・このままあの世で・寝続けむ (宇和島市 上田一夫)

 

 

(同趣旨の句は多数にのぼると思われる。)

 

 

本丸が・近しパー券・春の陣 (川崎市 森田三郎)

 

 

(ぜひ落城までもっていってほしい。)

 

 

【短歌】

 

 

お互いに・照れてすれ違う・なつかしい・歌の中のわれ・今生きるわれ 

           (富山市 松田梨子)(高野公彦選)(馬場あき子選)

 

 

(お互いに「突っ張り」が見てとられて、照れてしまう。)

 

 

わが町の・昭和の写真・展に出す・七十年前の・一年B組 

                 (壱岐市 篠崎美代子)(永田和宏選)

 

 

(歴史的存在になってしまっていることに感慨深い。)

 

 

冬の星・見ながら洗う・作業着の・汚れを照らす・懐中電灯 

                  (岡山県 小林和恵)(永田和宏選)

 

 

(このような生活歌が歌壇にもっとあっていい。シモーヌ・ベイユの「労働者に詩を」をあらためて想起せよ。) 

 

 

毒を盛る・国に戻りて・闘いし・ナワリヌイ氏の・死に驚かず 

             (浦安市 中井周防)(高野公彦選)(永田和宏選)

 

 

(ウクライナ詠)

 

 

殺人鬼・プーチンに触れ・深夜便・ナワリヌイ氏の・訃報伝える 

                  (名古屋市 甲斐万里子)(高野公彦選)

 

 

(ウクライナ詠)

 

 

ナワリヌイ・死去のニュースを・聞きながら・母の襁褓(むつき)の・世話をしている 

            (草加市 永吉謙一)(永田和宏選)(馬場あき子選)

 

 

(ウクライナ詠)