2024年3月6日
本日(3月6日(水))の朝日朝刊で、自民党をむしばんでいる発がん性のどんぶりの3つのトッピングが奇しくもそろった。
その3つとは、「似非(えせ)平和主義」「大日本帝国肯定ノスタルジー」「裏金づくり」である。
いずれも致死性のものだが、それで自民党が壊滅するだけなのなら自業自得というものだが、日本社会全体が危うくされており、看過しがたいものである。
まず、「似非平和主義」。本日登場したのは共同開発による次期主力戦闘機の第三国への輸出解禁の問題である。
「主義」とは、他の理念に優先して、その主義の求めるところを貫徹してこそ「主義」の名に値する。
単に平和を望むというだけならば、プーチンと何ら変わるところはない。
昨日、参院予算委で岸田首相は、公明党議員の質問に答えるかたちで、次期主力戦闘機の輸出を認める必要性について語った。
これは筋書きが見え見えの茶番劇であり、これを受けて山口公明党代表はさっそく、これまでの輸出反対の態度を豹変させて、岸田首相の説明を評価する旨の発言をしている。
そして、岸田首相の説明なるものは、調達コストの低減を図ることが共同開発国との連携上不可欠という、経済性、効率性、そして御都合主義的な観点からのものであった。
(山口代表は「丁寧な説明であった」などと語っているが、実際は抽象的でわかりにくい説明であり、このことからも茶番劇であることが明らかになっている。)
人を殺傷する武器は輸出しないという平和主義の理念から導かれる原則を、経済性、効率性というチャチな要請のために犠牲にすると言っているのである。
これが平和主義の名に値しないことは明らかである。
(今回の茶番劇によって(も)、平和主義を掲げてきた公明党は、自民党と同じ「似非平和主義」であることを、恥ずかしげもなく世間にさらしている。)
次の「大日本帝国肯定ノスタルジー」は、本日の記事の自民党の2024年度運動方針案(17日の党大会で正式決定)に示されている。
従来の靖国神社参拝に加えて、新たに各県の護国神社への参拝も促進するとのことなのだ。
靖国神社、そしてその体系下にある護国神社が、戦争への国民総動員のための国家的マインド・コントロール機関であったという客観的事実をとらえることが自民党はできないのだ。
そして、これが自民党の知的水準の低さ、知的怠慢にとどまるものではないことが銘記されなければならない。
国民を都合よくコントロールしようという、戦前と同様の企みがあることを見逃すことはできないのだ。
そして「裏金づくり」。今回の安倍派による政治資金パーティ収入のキックバック及び報告書不記載は、使途を明らかにする必要のない、無制約の資金を得ようとする自民党の諸々の手法のうちで、直ちにその違法性がバレてしまう、幼稚で、粗雑な手法が発覚したものだ。
他の手法としては、政党から政治家個人に交付される政策活動費(合法)、旧文書交通費(合法)、そして新たに判明した茂木派の脱法手法(下注参照)がある。
無制約の資金の獲得、それこそ自民党結党以来決してそこから抜けきることができない自民党の体質である。何度も事件を繰り返し発生させながら、消えることのない自民党のDNAである。
それは三色丼のトッピングとして他の2色と並べるべきものではなく、そのご飯部分をなす党の本質というべき要素かもしれないとも思う。
茂木派の脱法手法の発覚によって、茂木幹事長は処分権を事実上喪失し、もはや安倍派の党内処分は不可能化したと考えられる。
もはや岸田政権はボロボロになって選挙に突入するしかない運命だが、その際、国民としては「裏金づくり」の問題だけではなく、自民党を三色全体として考えて断を下す必要があることを強調したい。
(注)茂木派の無制約資金調達方法
国会議員は一般に複数の政治団体(事実上は同一組織、名義上の看板が違う
だけ)をもっており、それらの政治団体の会計の開示については、政治資金規
正法上、3つの類型によって異なる取扱いとなっている。
その3類型とは「国会議員関係政治団体」「資金管理団体(議員のための資金
受け入れ団体)」「その他の政治団体(例えば後援会)」である。
そして、「国会議員関係政治団体」であれば、政治資金収支報告書に1万円
以上の支出(経常経費のうちの人件費を除く)について、領収書添付の上、そ
の詳細を記載しなければならない。(1万円未満の支出についても領収書の開
示義務がある。)
一方、「その他の政治団体」であれば(「資金管理団体」については略す。
他の2類型の中間に位置づけられる。)、経常経費(人件費、光熱水費、備
品、消耗品費、事務所費)については項目ごとの総額を記載すればよく、その
明細は問われない。(経常経費以外の政治活動費については5万円以上の支出
の詳細を明らかにする必要がある。)
この報告の取扱いレベルの違いを利用して、「国会議員関係政治団体」から
「その他の政治団体」に寄付というかたちで資金を移動し、実際の使途を隠蔽
し、使途を問われない経常経費の備品、消耗品費等として使ったことにしてし
まうのである。