2024年2月6日

 

 パー券裏金事件の全容を解明しますと表明している自民党、その自民党が全議員を対象にしたアンケート調査がひどい!

 議員アンケートの質問は、少なくとも、パー券裏金作りはいつから、誰の勧めによって始めたのか、その使途は、使途を明らかにできないとすればその理由、を問うものでなくてはならなかったはずだ。

 しかし、実際のアンケートはたった2問で、収支報告書記載漏れがあったかどうか、あったとすれば5年間の各年記載漏れ金額はいくらだったか、というだけのものだった。

 この事件で起訴された議員が少数であったからといって、それ以外の議員が無罪ということではない。

 起訴が猶予されたのであって、あるいは捜査が手控えられたのであって、多数の議員は犯罪者なのである。

 そして、パー券収入だけではなく、受け入れ元、支払い先を明らかにしないで済むカネを欲しがる体質をもっている議員が多数、自民党には存在しているのではないかと疑われているのである。

 補助事業採択、融資あっせん、官庁調達、制度改革、あるいはその阻止等々の陳情の場面で、封筒入り現ナマが日常的に自民党議員のポケットに入っていたのではないかと再び疑われるようになっているのである。

 議員としての資格が根本から問われているのである。

 「肉を切らせて‐‐‐‐」という言葉があるが、無傷で事態を乗り切ることを断念し、切られる肉の量を最小化するという心づもりでなければ、自民党は「骨まで切られ」てしまう。

 相当な覚悟をもたないと自民党という政党の存在も危うくなると認識して取り組まなければならない事態である。

 その認識と覚悟がまったく岸田首相には欠如しているようだ。そうとしか考えられない。

 「東山三十六峰、逃げるが勝ち」というつもりがあるようだが、考えが甘すぎる。

 政治家としての相場観が狂っている。

 

 このアンケートの内容のひどさを見て筆者は、もはや時すでに遅しの感をもつに至っている。

 自民党は楽観組と深刻組に分裂するのではないだろうか。すなわち、本件は自民党内にとどまらず、政界再編にまで至るのではないだろうか。