2024年1月13日

 

 本日(13日(土))朝のNHK報道によれば、自民党のパー券収入キックバックに関する政治資金規正法違反事件について、検察は、派閥側(キックバックの出し手側)は安倍派と二階派の会計責任者の在宅起訴とし、事務総長経験者等の国会議員は無罪放免とする方向で調整中のもようである。

 情報元は検察のリークしか考えられないので、そのようになると考えざるを得ないであろう。

 事務総長等の「知っていて知らないふり」「暗黙の了解」は事実上の共謀なのだが、行為を伴わないので立証が困難ということから、検察の「相場観」からすれば、そのようにならざるをえないのかもしれない。

 

 しかし、そのようにするとしても、検察は次の2点を明らかにしなければならない。

 第1点は、会計責任者の犯罪実行の意志形成である。会計責任者が単独で判断していたとは到底考えられない。しからば、会計責任者は誰の指示によって犯罪を実行することとなったのか?

 このことは会計責任者の量刑の判断の上で重要な要素となるはずだ。求刑する上で検察はこのことを説明しなければならない。

 第2点は、2021年の安倍晋三の安倍派会長就任によって、キックバックの廃止が指示されたにもかかわらず、その後撤回されたという事実に関して、撤回の意志形成がどのようになされたのか、ということである。

 2022年、2023年、パーティーが2回開催されている。2023年分の政治資金報告書は提出期限に至っていないので本件の対象外だ。2022年は当初キックバックが廃止されていて、その後撤回されたという微妙な時期にあたる。キックバックがあったのかなかったのか明らかではない。2022年の政治資金報告書について政治資金規正法違反があったとすれば、キックバック廃止の撤回という派閥の意志形成によって違反が発生していることになるので、会計責任者のみの単独犯ということはありえない。

 2022年におけるキックバックの有無、あったとすればなぜ会計責任者のみの起訴となるのか、検察は説明しなければならない。

 

 そして、以上のことに加えて、自民党は、検察とは立場の違う公党の政治的責任として、検察が起訴便宜主義によって「ほおかぶり」にしてしまった本件に関するすべての犯罪事実を、国民の前に明らかにする義務がある。

 キックバックを受けた国会議員側の政治資金規正法違反に関して、金額の多寡にかかわらず、その全容を明らかにしなければならない。

 政治資金収支報告書をキックバックによる収入のみならず、その支出についても修正させ、その修正内容を明らかにしなければならない。

 検察の処分をもって、ことは終われりとすることは許されないのである。

 

 不起訴となった議員は、公民権が停止されることはなく、選挙によって再選されれば、「みそぎ」を受けたというような言い振りで政治家生命を復活、継続しようとするだろう。

 しかし、「みそぎ」というのは、事実をすべて明らかにした上で選挙民の判断を受けた場合に言えるのであって、事実を隠したままでは選挙民を欺いただけであり、「みそぎ」を受けたとは言えないのである。

 

 さて、「流し満貫」である。

 「トカゲのしっぽ切り」で本件を処理してしまおうという姿勢が、いつものことながら感じられる。

 必要のない「ハジ牌」「字牌」を切り捨ててゲームを続けようというたくらみが感じられる。

 その結果、「ハジ牌」「字牌」の切り捨てが貫徹された場合、「流し満貫」という「役」が成立する場合があることはある。

 しかし「流し満貫」を狙うようなマージャンは、へたなマージャンというのは世間の常識である。

 自民党が「流し満貫」を考えているとすれば、負けは必至とご注意申し上げておこうと思う。