2023年12月24日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第538回です。

 今回、ウクライナ、パレスティナ、戦争一般を扱ったものが俳壇に2句、歌壇に3首ありました。

 

 

【俳句】

 

 

僕たちは・誰の味方か・虎落笛(もがりぶえ)

                  (北名古屋市 月城龍二)(高山れおな選)

 

 

(戦争詠。深刻なのは、「味方か」どころではなく、突き詰めると「敵」である可能性が高いということだ。)

 

 

大阪から・飛び込み続く・冬銀河 (福岡市 釋蜩硯)(高山れおな選)

 

 

(阪神優勝の興奮の持続がうまく詠われている。)

 

 

夢のあと・厠(かわや)へいそぐ・寒きびし

                 (四日市市 小谷恒夫)(長谷川櫂選)

 

 

(老人性頻尿風景。)

 

 

六十年・書き続け来し・日記果つ (島根県邑南町 服部康人)(大串章選)

 

 

(あまりにも重大。いったい何が起きたのだろうか?)

 

 

ひと騒ぎ・女将(おかみ)騙(かた)られ・年を越す (秋田市 小田政二郎)

 

 

(世の中、いろいろなお正月が迎えられる。)

 

 

テレビ消し・戦死者消ゆる・空つ風 (東京都 漆川夕)(長谷川櫂選)

 

 

(パレスティ、ウクライナ詠)

 

 

【短歌】

 

 

民衆は・殺し合わない・戦場で・国に強制・されない限り 

                  (東京都 十亀弘史)(永田和宏選)

 

 

(戦争詠。しかし、ちがう!醸成された「国家意識」「民族意識」によって民衆は積極的に殺し合う。)

 

 

壁叩き・妻が二階へ・合図する・夫は床蹴り・食事の交信 

                 (習志野市 元杉紀雄)(佐佐木幸綱選)

 

 

(深刻なのか、遊んでいるのか、わからない。)

 

 

ヤメ検も・政治家秘書も・官僚も・本業以外の・ことに励めり 

                         (福山市 久保田憲二)

 

 

(ダウンタウン・ヒーローズ、旧制高校の精神でしょうか?)

 

 

大年や・われがこととは・思わざり・天網恢恢・盛者必衰 

                         (八王子市 安田五郎)

 

 

(パー券疑惑による安倍派の年越し。大年:大みそかの夜のこと。)

 

 

「郷隼人」・さんの名前に・安堵して・ガザ、ウクライナへ・視線を移す 

                 (近江八幡市 寺下好則)(高野公彦選)

 

 

(ウクライナ、パレスティナ詠。「郷隼人」さんは久々に復帰した在米獄中歌人。)

 

 

ガザをうつす・テレビは無臭・戦争は・無臭ではない、・無臭ではない 

                 (川崎市 小暮里紗)(佐佐木幸綱選)

 

 

(パレスティナ詠)