2023年12月17日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第537回です。
今回、戦争一般を扱ったものが、歌壇に1首、俳壇に2句ありました。パレスティナを扱ったものが歌壇に5首ありました。後ろに掲げます。
【俳句】
歩ききて・ふと見渡せば・枯野中(かれのなか)
(東京都 徳竹邦夫)(大串章選)
(作者、92歳とのこと。「枯野」に否定的な感じがしない。)
霜までの・命皇帝・ダリアかな (川越市 大野宥之介)(高山れおな選)
(プーチンの運命でもあってほしい。)
戦火赤し・青き地球の・年暮るる (伊賀市 山島美紀)(高山れおな選)
(ウクライナ、パレスティナ詠)
戦争が・ストーブの前・また通る (神栖市 片伯部淳)(長谷川櫂選)
(ウクライナ、パレスティナ詠)
【短歌】
言語野に・幽(かそ)けき花が・一つ咲く・息子が私を・「お母(か)ん」と呼んだ
(戸田市 藤原真理)(佐佐木幸綱選)(馬場あき子選)
(息子さん、25歳の障害者とのこと。)
医療費が・払えませんと・泣く声に・待合室は・しんと静まる
(つくば市 山瀬佳代子)(佐佐木幸綱選)
(見えにくくなっているが、貧困はすぐ近くにある。)
麻酔なく・スマホのライトに・メス握る・医師の腕には・包帯巻かれ
(中津市 瀬口美子)(高野公彦選)(馬場あき子選)
(パレスティナ詠)
保育器を・出されしガザの・みどりごの・生は緑布の・温みのもつ間(ま)
(水戸市 中原千絵子)(永田和宏選)
(パレスティナ詠)
名付けられ・名前で呼ばるる・はずだった・ガザの未熟児・その後の映らず
(八王子市 額田浩文)(永田和宏選)
(パレスティナ詠)
平和しか・知らない子たち・戦(いくさ)しか・知らない子たち・皆ママが好き
(日田市 石井かおり)(永田和宏選)
(ウクライナ、パレスティナ詠)
あたたかき・赤児を抱けば・ガザに果てし・あまたの幼の・生命(いのち)切なし
(沼津市 佐々木みつお)(馬場あき子選)
(パレスティナ詠)
瓦礫の山に・ポツンと残る・観覧車・ガザにはもう・乗る親子なし
(京都市 森谷弘志)(馬場あき子選)
(パレスティナ詠)