2023年12月3日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第535回です。

 今回、ウクライナ、パレスティナを扱ったものは、俳壇に2句、歌壇に4首ありました。うしろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

分からない・ことが楽しい・秋深し 

          (成田市 かとうゆみ)(小林貴子選)(高山れおな選)

 

 

(分からないことが分かるのが楽しい、分からないことを分かろうとしていろいろ考えることが楽しい、みんなが分かっていないことを知って楽しい、分析すると、このいずれかではないだろうか。)

 

 

口利かぬ・妻へみかんを・転がしぬ (前橋市 田村とむ)(小林貴子選)

 

 

(この夫婦の距離感の表現、絶妙!)

 

 

星月夜・童話忘れず・誰も老ゆ (横浜市 飯島幹也)(大串章選)

 

 

(老いを美しく、ロマンティックに詠った稀少、貴重な一句。)

 

 

天高し・ベンツの五人・皆傘寿 (武蔵野市 河野恵美子)(高山れおな選)

 

 

(老いてもなおチンピラ精神忘れず。)

 

 

十一月・潰されてゆく・ガザの街 (取手市 御厨安幸)(小林貴子選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

教え児(ご)と・タブるガザの子・街冴(さ)ゆる 

                (鈴鹿市 萩森繁樹)(高山れおな選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

【短歌】

 

 

人間を・脱いで向き合う・日もありき・困難校に・勤めし頃は

                 (千葉市 愛川弘文)(永田和宏選)

 

 

(ネタニヤフは、かく言うであろうか。自覚はないであろうか。)

 

 

先祖らは・木に拠りて来し・指物師・箸師、檜物師・桶屋、櫛挽(くしびき) 

                 (東京都 上田国博)(佐佐木幸綱選)

 

 

(我が系にも指物師、大工、桶屋がいる。)

 

 

翔平や・聡太のごとく・純粋で・謙虚なヒーロー・出でよ政界 

               (近江八幡市 寺下義徳)(高野公彦選)

 

 

(気持ちはわかるが、国民がそういう判断でいるかぎり、その国の政治は良くならない。)

 

 

オットセイ・コマイ、トナカイ・ラッコ、トド・シシャモ、ルイベも・アイヌ語からぞ                       (小樽市 向田泰一)

 

 

(これらの単語、そして各地の地名、アイヌ語が日本語に残っていてよかった。)

 

 

エルサレム・中東教区の・MESSAGE(メッセージ)・「呻(うめ)き」という語は・直ぐ分かりたり         (姶良市 矢野敬一郎)(永田和宏選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

イスラエルの・承諾なくば・ガザの民・望む支援も・してはもらえず 

                   (大和市 李種太)(馬場あき子選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

囚人が・徴兵されて・房の空き・増える戦時下・ロシアの刑務所 

                  (横浜市 竹中庸之助)(高野公彦選)

 

 

(ウクライナ詠)

 

 

悪だけを・殺す砲弾・あらずして・悪も明らか・ならざる世界

                  (八王子市 額田浩文)高野公彦選)

 

 

(ウクライナ・パレスティナ詠)