2023年11月19日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第533回です。

 今回、ウクライナ、パレスティナを扱ったものは、さすがに、俳壇に2句、歌壇に7首ありました。うしろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

真夜中の・稲架(はさ)の香を嗅ぐ・巡査かな

                   (横浜市 飯島幹也)(高山れおな選)

 

 

(仕事中の気まぐれか、仕事として嗅いだのか、何とも不思議な場面だ。)

 

 

保津川の・舟を上がりて・新豆腐 (福知山市 森井敏行)(小林貴子選)

 

 

(冷えた体に湯豆腐。)

 

 

皮に骨・浮かべて走る・狐かな (朝倉市 深町明)(長谷川櫂選)

 

 

(餌の無いときの野獣は惨めだ。小生も視認したことがある。)

 

 

戦争の・愚に気づかざる・寒さかな (八王子市 徳永松雄)(長谷川櫂選)

 

 

(ウクライナ・パレスティナ詠)

 

 

凩(こがらし)や・瓦礫の下に・ぬいぐるみ

                  (高槻市 若林眞一郎)(長谷川櫂選)

 

 

(ウクライナ・パレスティナ詠)

 

 

【短歌】

 

 

手を伸ばし・フランスデモした・あの頃の・私の、この国の・すがたはいずこ 

                    (藤沢市 谷平弘道)(永田和宏選)

 

 

(なぜ、もう一度、フランスデモを展開しないのか。)

 

 

高校を・終り六十・余年経ち・B組だった・女(ひと)とお茶飲む 

                   (新潟県 涌井武徳)(馬場あき子選)

 

 

(異性に対する緊張感が解消されるという年齢効果、それによる達成。)

 

 

空爆を・逃れるガザの・幼子の・Tシャツの胸・にはキティちゃん 

                   (藤沢市 朝広彰夫)(佐佐木幸綱選)

 

 

(パレスティナ詠。)

 

 

美しき・民謡の国・ロシアの地・いただきになぜ・プーチンがいる

                    (東京都 西垣郁子)(高野公彦選)

 

 

(ウクライナ詠)

 

 

青天に・飛行機雲が・クロスして・ガザでは今日も・犠牲者数多(あまた)

                      (高崎市 小島文)(高野公彦選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

四字熟語・「喜怒哀楽」に・なき「憎(ぞう)」が・争いもたらし・また「憎」を生む

                     (沼津市 山本昌代)(高野公彦選)

 

 

(ウクライナ・パレスティナ詠)

 

 

風呂なんて・入れる訳が・ないだろな・飲む水さえも・ままならぬガザ 

                  (五所川原市 戸沢大二郎)(永田和宏選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

220・万人が住む・ガザ地区に・トラック20台の・物資が届く

                   (寝屋川市 今西富幸)(永田和宏選)

 

 

(パレスティナ詠)

 

 

この子らが・泣くためだけに・生まれしと・思いたくなき・ガザの映像

                  (観音寺市 篠原俊則)(馬場あき子選)

 

 

(パレスティナ詠)