2023年8月27日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第521回です。
今回、ウクライナを扱ったものは、歌壇に1首、俳壇1句でした。後ろに掲げます。
【俳句】
宛名のみの・葉書の届く・猛暑かな (南足柄市 吉澤フミ子)(大串章選)
(メッセージ性の高い便り。何とか差出人を知りたくなる。)
うきわつけ・土星がおよぐ・うちゅうかな
(川崎市 かとうゆうき)(長谷川櫂選)
(これが季節性連想というもの。)
美しき・蛾が死ににくる・月の夜 (金沢市 前九疑)(長谷川櫂選)
(濃密な夢幻空間。)
内省の・日々に欠かせぬ・ビールかな
(栃木県壬生町 あらゐひとし)(長谷川櫂選)
(酒飲みの洗練された理屈。)
遠雷に・耳を澄ませて・昼寝かな (飯能市 前田五郎)
(かすかに涼風ありか?)
塹壕の・ごと深々と・牛蒡掘る (横浜市 我妻幸男)(小林貴子選)
(ウクライナ詠)
【短歌】
休み無き・激務の職を・辞めし子は・アオジタトカゲを・飼ひ始めたり
(さいたま市 齋藤紀子)(馬場あき子選)
(理不尽な社会に子を送り出してしまった母の悔恨。)
こどもには・スピリッツアウェイ・あるごとく・俺には昼の・焼酎がある
(いすみ市 金田一村)
(これも酒飲みの自己美化というもの。「スピリッツアウェイ」=神隠し、最近のジブリ映画にもあった。)
マルクスを・理解せぬまま・友逝けり・五十歩百歩に・過ぎぬことなり
(高松市 木田幸二)
(「マルクスを」のところに、いろいろなことばを入れることができそうだ。)
僕たちも・陣取りごっこは・よくやった・残虐非道は・なかったけれど
(松本市 馬木和彦)(永田和宏選)
(ウクライナ詠。)