2023年7月9日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第515回です。

 今回、ウクライナを扱ったものは、歌壇に2首、俳壇にはありませんでした。うしろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

ナイターの・なき安らかな・一夜かな (大阪市 眞砂卓三)(長谷川櫂選)

 

 

(毎夜のナイターで一生を終わる危機感から小生はナイターをきっぱりやめた。)

 

 

人生や・老いて打たるる・天花粉 (松江市 三方元)(長谷川櫂選)

 

 

(「打たるる」が感じが出ている。老いはこんなふうにも幼児に戻るのだ。)

 

 

線状の・まもなく来るを・待つ昼寝 (安芸高田市 谷田部五郎)

 

 

(お手上げするほか・なき我が身かな) 

 

 

【短歌】

 

 

初めての・茶道部の日の・新しい・靴下の白・メモ帳の白 

    (奈良市 山添葵)(馬場あき子選)(佐佐木幸綱選)(高野公彦選)

 

 

(緊張感が伝わってくる。)

 

 

一人で行く・ワクチン接種・六回目・五回目までは・二人だったのに 

                 (中津市 桐生正子)(佐佐木幸綱選)

 

 

(そういうことだったのか。)

 

 

桐の花・咲けば恋いしも・若き日に・峠を越えて・会いに来し人

                 (安中市 岡本千恵子)(高野公彦選)

 

 

(同地で類似事例を聞きしことあり。その例は女性が会いに行って結婚に至ったそうだ。) 

 

 

首無しは・ディスコ帰りの・初老マン・猟奇の果ての・断捨離ホテル

                         (函館市 水田一美)

 

 

(聞けば遺留品もまったくないそうだ。)

  

 

朝からの・気ぶっせいの因・索(もと)むれば・海の向こうに・快音のなし

                        (札幌市 田岡信二郎)

 

 

(オータニさん、日本中の気分を支配している。)

 

 

権力の・ためなら手を組む・自堕落を・青年狙撃者・見逃さざりき 

                        (長崎市 才田隆三)

 

 

(安倍事件1年。)

 

 

メルケルの・言葉の重み・増す世界・「人道の罪に・時効は無い」 

                   (亀岡市 俣野右内)(永田和宏選)

 

 

(ウクライナ詠)

 

 

ウクライナと・日本の子らの・共作の・画布に押される・小さな手形 

                  (横浜市 田中廣義)(佐佐木幸綱選)

 

 

(ウクライナ詠)