2023年7月2日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第514回です。

 今回、ウクライナを扱ったものは、歌壇に2首、俳壇にはありませんでした。うしろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

夜遊びが・過ぎたか蚯蚓(みみず)・干からびて 

              (神奈川県湯河原町 増田道子)(高山れおな選)

 

 

(罰としてひどすぎない?)

 

 

かたことと・片言を言ふ・扇風機 (市川市 をがはまなぶ)(小林貴子選)

 

 

(愛らしき扇風機の健気さの一景。)

 

 

おそらくは・夜中に曲がる・バナナかな (浜松市 小澤あり須)(小林貴子選)

 

 

(こういう賢さが大切なのだ。いい議論をすることができる。)

 

 

捨てるには・忍びなき顔・蚊遣(かやり)豚 

               (栃木県壬生町 あらゐひとし)(長谷川櫂選)

 

 

(捨てるべきでない。捨てざるをえないのなら、豚と目を合わせてはいけない。)

 

 

遠き日の・遠き暮しの・蠅叩(はえたたき) (越谷市 新井高四郎)(大串章選)

 

 

(無惨な殺し方がけっこう誰でも平気だったのが不思議。)

 

 

涼風に・命をもらう・目覚めかな (亀岡市 池田浩二)

 

 

(涼風なければ死の危険の熱帯夜。)

 

 

【短歌】

 

 

現役の・時に使った・名刺入れ・診察券の・ホルダーとなる

                      (川崎市 小島敦)(高野公彦選)

 

 

(君も生き残ったか、ぼくも生き残る、といった感じ。)

 

 

にっぽんは・戦争不可避と・悲観しつつ・余生を過ごす・アホらしさかな

                           (笠岡市 門田三馬)

 

 

(軍拡日本は平和老人に不幸をもたらせている。)

 

 

フェイクで育ち・フェイクにまみれ・死んでゆく・今さら言うな・フェイクに注意 

                          (八王子市 田丸義一)

 

 

(庶民はすでに腹をくくっているのだ。) 

 

 

欲しいなら・呉れてやろうぜ・「国のため」・気に入らないのは・おぬしの「正義」 

                         (京都市 下田原安二郎)

 

 

(ノーブレス・オブリージュが感じられない文化のもたらす一つのパターン。)

 

 

武器供与・すればロシアの・民が死に・せねばウ国の・民が死ぬ 嗚呼

                     (朝霞市 岩部博道)(永田和宏選)

 

 

(ウクライナ詠)

 

 

死と隣り・合はせの人等(ら)・遠く見て・「ウクライナ疲れ」と・緩(ゆる)く言ふのだ                 (京都市 森谷弘志)(永田和宏選)

 

 

(ウクライナ詠)