2023年4月4日

 

 台湾有事の議論に徹底的に欠けているところがあると思う。

 中国が台湾侵攻を行う場合には、その時すでに台湾で内戦が発生している可能性が高いということである。

 その内戦の片方の側からの支援要請がある、あるいはアメリカが内戦に介入している、というような名目のもとで中国は台湾に侵攻することになるのだ。

 そして、アメリカの介入も同様に、中国軍の侵攻の時点ではなく、内戦が発生した時点で、片方の側から支援要請がある、あるいは中国が内戦に介入している、という名目のもとで行われることになるのだ。

 まずは事実の認定が問題となる。

 台湾世論はどちら側を支持しているのか?

 いかなるきっかけで、どちら側が先に武力に訴えたのか?

 中国が、あるいはアメリカが、裏で糸を引いていたのではないか?

 とにかく、台湾有事は、一枚岩の台湾に対して中国が一方的に侵攻するという単純な様相をとらない可能性が高いと考えておかなければならない。

 

 日本は内戦に対して、どの段階でどのような態度をとるのか?(内戦段階では「存立危機事態」の要件は成立しない。)

 現時点であらかじめ態度を決めておくことができるのか?

 その場合の基準はどこにおかれるのか?

 

 本日(4日)のNHK「キャッチ!世界のトップニュース」で中国の台湾侵攻・2027年危機説が、内戦の可能性についてはいささかも触れずに、紹介されていた。

 習近平が4期目に入るにあたりそのための実績を上げておく必要から台湾侵攻を強行するという、かなり断定的な説明であった。

 それまでに米中の核戦力のバランスが成立し、通常戦力による中国の台湾侵攻の条件が整うとの説明であった。

 それも考えておかなければならないだろう。

 しかし、事実認定としても、法的にもより複雑と考えられる、こちらの内戦先行ケースも相当よく考えておかなければならないと思う。