2023年1月29日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第493回です。

 今回、ウクライナを扱ったものは、歌壇に1首、俳壇に2句ありました。

 それぞれ後ろに掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

ミレドシラ・竪琴かしら・霜ばしら (東京都 原千弘)(小林貴子選)

 

 

(技巧的なものであるが、つながりの自然さが素晴らしい。)

 

 

寒鴉・議事堂前に・集結す (小平市 本多達郎)(小林貴子選)

 

 

(国会議員の初登院風景。あるのは軽蔑、薄気味悪さ。)

 

 

正月も・平らに過ごし・ひとり飯 (前橋市 立見莞爾)(小林貴子選)

 

 

(「ひとり飯」ゆえ「平ら」なのか、にもかかわらず「平ら」なのか。この句はどちらでもないと言っている。)

 

 

寒さには・あらず怒りに・震へをり (八王子市 額田浩文)(長谷川櫂選)

 

 

(動かねば体に悪い。)

 

 

戦争が・氷のやうに・笑ひをる (柏市 物江里人)(高山れおな選)

 

 

(ウクライナ詠。)

 

 

闇汁に・ロシアの戦車・らしきもの (境港市 大谷和三)(長谷川櫂選)

 

 

(ウクライナ詠。)

 

 

【短歌】

 

 

次に来る・こと徴兵・かもしれず・思いもよらぬ・ほどの急変 

                (東京都 中澤隆吉)(佐佐木幸綱選)

 

 

(自衛隊入隊者の急減のあとに来るのは、徴兵か戦争代行会社による貧乏人の雇い上げだ。)

 

 

野焼きする・たびに通報・されし人・野菜作りを・やめてしまいぬ 

                 (安中市 岡本千恵子)(佐佐木幸綱選)

 

 

(こういう問題は情緒的に反応すべきではない。冷静、適切なルール作りで解決すべきだ。)

 

 

鶏の・声が耳から・離れぬと・処分を終えし・男が泣けり 

                  (観音寺市 篠原俊則)(高野公彦選)

 

 

(そういうことがあるということを知らなかった。知れば、そういうこともあるだろうと思う。)

 

 

ドローンを・無人攻撃・機に仕立て・殺戮するを・進歩と呼べり 

                   (浜松市 松井惠)(馬場あき子選)

 

 

(ウクライナ詠。)