2022年12月11日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第487回です。

 今回、ウクライナを扱ったものは、歌壇に7首、俳壇にはありませんでした。

 7首は最後に掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

痛くなる・部分がこころ・帰り花 (横浜市 三玉一郎)(小林貴子選)

 

 

(「帰り花」で「老いらくの恋」と読んでいいのだろうか?)

 

 

極月や・俄(にわか)に疼(うず)く・吉良贔屓(びいき) 

                (大村市 高塚酔星)(小林貴子選)

 

 

(「孤独な生涯」とひとたびは思ったが、おぬし、大勢非順応を逆手にとって楽しんでおるな。)

 

 

こんなにも・減らして買ふや・年賀状 (町田市 藤巻幸雄)(長谷川櫂選)

 

 

(喪中欠礼、本人逝去、転居先不明、高齢による賀状辞退など。こちらからの絶交もあるか?)

 

 

米寿まで・生きて田仕舞・するつもり (海南市 榎好子)(大串章選)

 

 

(日本中が田仕舞、それは日本仕舞。)

 

 

【短歌】

 

 

俺以外・客はいなくて・マスターと・外まで見に行く・皆既月食 

                   (国立市 佐藤建)(永田和宏選)

 

 

(酒を飲むのにこういう店がいちばんいい。マスターである必要はないが‐‐‐)

 

 

ハッカ出る・まで罐を振る・懐しき・サクマ式ドロップは・昭和の甘さ 

                 (東京都 長谷川瞳)(馬場あき子選)

 

 

(製造終了を知って5缶買い込み、少しずつなめてます。ハッカ入ってません。)

 

 

荷風読み・独り飯食う・夕暮の・淋しきことは・子らに語らず 

                 (姫路市 中塚裕久)(佐佐木幸綱選)

 

 

(庶民の老後、銀座、浅草をまわった荷風のようにはいかない。)

 

 

叫び声・あげて重機に立ち向かふ・昭和時代の・ビルの鉄骨 

                  (札幌市 伊藤哲)(佐佐木幸綱選)

 

 

(叫び声は上げているが、立ち向かってはいない。)

 

 

【以下ウクライナ詠】

 

 

まだ生きて・子はたたかうか・月白く・凍る窓辺に・ウクライナの母 

                 (大和郡山市 四方護)(永田和宏選)

 

 

ウクライナの・子がプーチンを・柔道で・倒した絵描きしは・バンクシーらし

                 (いわき市 守岡和之)(馬場あき子選)

 

 

歌詠めど・他は何も・せぬ我の・知る日本人・志願兵の死 

               (五所川原市 戸沢大二郎)(馬場あき子選)

 

 

ミサイルや・ドローンが飛び交う・戦争は・焼夷弾からの・愚かな進化

                 (三鷹市 山縣駿介)(佐佐木幸綱選)

 

 

新聞の・アンビバレントな・ドローン記事・「農家を救う」・「兵士を殺す」

                  (出雲市 塩田直也)(佐佐木幸綱選)

 

 

ミサイルの・飛び交ふ地球が・太陽を・遮り月を・赤黒く染む 

                   (鎌倉市 下田和夫)(高野公彦選)

 

 

ロシアでも・ウクライナでも・母たちの・本音はきっと・死ぬな殺すな 

                 (京田辺市 藤田佳予子)(高野公彦選)