2022年8月7日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第469回です。

 今回、ウクライナを扱ったものは、歌壇で37首中4首、一方俳壇は4週連続で、なしでした。

 元総理銃撃について4首ありました。以下に3首を掲げます。

 

 

【俳句】

 

 

冷麦や・元宰相の・訃報聞く (千葉市 團野耕一)(高山れおな選)

 

 

七夕の・あくる日のこと・なりしかな 

(和歌山県日高町 市ノ瀬翔子)(高山れおな選)

 

 

元総理・撃たれし街を・蟻歩く (横浜市 飯島幹也)(高山れおな選)

 

 

(上記3句、安倍元首相銃撃事件との距離感をみごとに詠んでいる。俳句の力なり。)

 

 

セミのこえ・むかしのことを・おしえてる 

        (高槻市 神武遼伽)(高山れおな選)(小林貴子選)

 

 

(作者8歳だそうな。連想が凡人を超えている。)

 

 

村芝居・剣客借りて・女形(おやま)貸し (松江市 三方元)(小林貴子選)

 

 

(人事は三日やるとやめられぬという。)

 

 

短夜や・切れ切れに聞く・深夜便 (茅ヶ崎市 古田哲弥)(長谷川櫂選)

 

 

(そして5時を迎えること、我が身にもしばしばなり。)

 

 

【短歌】

 

 

レプリカの・竪穴住居の・入口に・消毒用の・アルコールあり 

         (松戸市 遠山絢子)(佐佐木幸綱選)(高野公彦選)

 

 

(「俳味」を感じさせる短歌。)

 

 

送電線の・細き影下・追いながら・うどん屋へ行く・ほんのすぐそこ 

               (丸亀市 香西美智子)(高野公彦選)

 

 

(火を使う食事作りを避け、日焼けを少しでも避ける。瀬戸内の「炙暑」。)

 

 

梅雨晴れて・九日ぶりの・獄庭の・草の葉噛めば・苦き味よし 

               (名古屋市 西垣進)(馬場あき子選)

 

 

(感性は収監されず。)