2022年8月5日

 

 ロシアのガルージン駐日大使が4日(木)広島を訪問し、原爆死没者慰霊碑に献花したという報道があった。

 例年8月6日の平和記念式典にロシアを招待していたのだが、平和記念式典を主宰する広島市が政府との相談の結果、ウクライナ侵攻、またプーチンによる核使用の示唆への抗議の意味で今回はロシアを招待しなかったようだ。

 これにロシアはガルージン大使の広島単独訪問というかたちで対応したのだ。

 

 直接軍事衝突をしているわけではないが、日本とロシアは現在「戦争状態」にある。

 そういう認識でロシアと対応すべきである。

 漁業交渉にしても、サハリン2にしても、あらゆる日ロ経済関係は「戦争状態」という認識を基礎とすべきである。

 文化、芸術、スポーツの分野においても交流を断つべきである。

 ロシアを徹底的に孤立させる、孤立しているということをロシア国民に知らしめる、そのことによって政策転換を迫る。

 肉を切られても骨を切る。

 これを対ロ外交方針の基本としなければならない。

 (この観点からして現状は、「戦争状態」という認識がまったく不十分であり、中途半端であり、国民に「肉を切られても」という覚悟がまったく醸成されていない。)

 

 しかしながら、核禁運動にかぎっては、他の分野とはまったく逆の対応をすることが求められている。

 当面の核使用を絶対に阻止するため、ロシアとの交流をやめるのではなく、ロシアとの交流を一層深めるべき局面にあるのだ。

 平和記念式典でなくてもよいが、積極的にロシアを広島・長崎に招待し、原爆の惨状をロシアに伝えるべき時期である。

 プーチンを、駐日大使を、ロシア青年たちを、この際だからこそ日本に呼ぶべきである。

 原爆の惨状を知らしめて核の使用をためらわせる、このことがこれまで現実的効果をあげているのであり、その価値を認識すべきである。

 核禁運動というのはこれでしかないのだ、これが核禁運動の本質なのだ。

 「平和はいいね」「命は大切」というだけのお祭りであれば、核禁運動などに大きな意味などない。

 だから、ロシアを招待しなかったという広島市の措置は核禁運動の本質を忘れたもので、大いなる誤りだったと言わざるをえない。

 

 核禁運動は、核保有及び核保有の可能性のある国々を(「ならず者国家」、テロ組織等を含めて)日本に積極的に招待し(滞在費をこちら持ちで)、原爆資料館等に缶詰めにして、ただただ起こった事実の何たるかを彼らに見せることをその本来の仕事とすべきである。

 G7を広島で実施すること、誠に結構なことである。

 しかし、アウトサイダーを、国際秩序を混乱に陥れる可能性のある勢力を広島・長崎に呼ぶこと、これもまた非常に大事なことである。

 日本はお金持ち先進国として、アウトサイダーたちからターゲットにされる立場にもあるが、被爆国という立場からこれを行いうるという特別なポジションにある、これを忘れてはならない。