2022年7月10日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第465回です。

 今回、ウクライナを扱ったものは、歌壇で37首中5首で、俳壇は39句中3句でした。

 

 

【俳句】

 

 

いかさまの・夏期講習も・ありにけり (飯塚市 釋蜩硯)(高山れおな選)

 

 

(老境の自己告白と読む。)

 

 

羅(うすもの)を・着て戦争を・観るゆふべ 

               (鶴ヶ島市 横松しげる)(高山れおな選)

 

 

(自虐と読む。)

 

 

死に際は・光ひきとる・蛍かな (東京都 山下光代)(小林貴子選)

 

 

(自我消去の願望と読む。)

 

 

【短歌】

 

みちのくを・旅して出会う・松島の・海の青・ずんだ餅の黄みどり 

               (富山市 松田わこ)(佐佐木幸綱選)

 

 

(旅行中も頭から離れないウクライナ。)

 

 

階級も・搾取も民族・差別もない・マルクスの夢・壊す独裁 

               (神戸市 橋本重梅)(高野公彦選)

 

 

(「欲望無限」という人間像をマルクスが想定できなかったのが夢が壊れた原因である。)

 

 

うばたまの・黒き瓦礫に・礼拝(らいはい)す・生くるものみな・なすすべもなく 

                (朝霞市 青垣進)(永田和宏選)

 

 

(「う・く・ら・い・な」が折り込まれている。「折句」というのだそうだ。)