2022年7月2日
ロシアが報復措置に出てきた。
日本はロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁の先頭グループに立っている。
直接的軍事支援は行っていないが、対ロ軍事同盟たるNATO首脳会議に岸田首相は出席した。
ロシアは日本を「非友好国」とすでに位置づけている。「敵国」ということだ。
報復措置は当然に予想されていたことである。
しかしながら、報復措置は曖昧さ、今後の運用の余地が多く残されているようだ。
日本の液化天然ガス権益の剥奪が決定されているわけではない。
原油、液化天然ガスの対日輸出禁止が決定されているわけでもない。
報道ではこのことを日本に対するロシアの「揺さぶり」と表現している。
「揺さぶり」とは言っても、ウクライナ侵略に対する日本の態度変更をロシアが期待しているはずはない。
日本もそこまではなめられてはいないだろう。
ロシアが報復措置に曖昧さを残したのは、ロシアが原油、液化天然ガスの日本への売却による外貨獲得によだれを垂らしているからだ。
単なる報復措置であるならば、権益剥奪、禁輸を直ちに決定すればいいはずだ。
それはしたくないというロシアに弱みはあるのだ。
ロシアとの交渉の余地は十分にあると考えられる。
日本はこれから数十年間に及ぶであろうロシアとの対決を決断したはずだ。
「対ロ準戦時体制」に入ったと考えるべきである。
当面の電力不足の懸念によって対ロ交渉の腰がふらつくようでは困る。
「対ロ準戦時体制」に突入していることを国民に十分に説明し、そのための耐乏生活への覚悟を求めるべきだ。
政権にそれだけの強い姿勢がなければ、ロシアに「揺さぶ」られることになる。
国民に対し「困る、困る」では説明ではない。
むしろ交渉上の立場を弱くしているだけだ。
長期的観点からの望ましき国際秩序形成のためには、それを堪え忍ぶことも必要であると国民に語ること、それが説明というものだ。
それが国民を賢くし、交渉上の立場を強くすることになるのだ。