2022年1月16日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第440回です。
【俳句】
凩(こがらし)や・小銭確かめ・コップ酒 (岐阜市 金子秀重)(長谷川櫂選)
(わびしけれども、飲めさえすれば。)
どこまでも・風に追はるる・枯葉かな (横浜市 岡本吉雄)(大串章選)
(「いつまでも・風と戯る・枯葉かな」と思えないものか、次句のように。)
冬温し・面白がつて・生きてゐる (神戸市 森木道典)(高山れおな選)
(客観的な気温とは別に主観的温度がある。時空の彩色、本人次第。)
【短歌】
元気でと・三度つぶやく・老い母に・四度うなづき・ふるさとを発つ
(西条市 村上敏之)(馬場あき子選)
(言葉少なきコミュニケーションの真実味。四度目のうなづきは出発の決意のうなづき。)
お父さん・お酒やめたで・一時代・終わった如き・母の報告
(羽曳野市 玉田一成)(佐佐木幸綱選)
(それをどう評価するかは別にして、時代は終わった。)
サッカーの・リフティングする・少年に・夕ぐれの家・明かりがつかず
(岡山市 奥西健次郎)(高野公彦選)
(その事情、果たしていかに。事実は小説よりも奇なり、ということもある。)