2021年12月24日

 

 「こども庁」は名称を「こども家庭庁」と変えて2023年度に発足ということになったようだ。

 名称変更は自民党内保守勢力の主張によるらしい。

 女性天皇、女系天皇に反対している連中であろう。

 確かめているわけではないが、日本会議とか神道政治連盟とかの組織に属する連中であろう。

 名称変更の背景を考えると「いやな感じ」がする。

 こどもの問題は家庭の問題、問題の解決には良妻賢母の育成が必要、といった考えが透けて見える。

 こどもの問題は社会の問題という観点が軽視されている。

 出てくる政策は、つまらぬ道徳的なお題目のもとで、女性に責任を押し付け、女性に過重な負担を強いるようなものとなることが予想される。

 

 そもそも資本主義は非商品経済の世界を商品経済化することによって成立し、その継続を可能としているシステムであって、一貫して商品経済化のフロンティアを開拓してきた。

 現代資本主義はそのフロンティアとして家庭を見いだし、家事労働の商品経済化によって家庭を資本主義の市場とし、家庭内主婦労働力を資本主義労働者市場に吸収してきた。

 これによって家族、家庭の実態はすでに大きく変質してしまっているのである。

 「こども家庭庁」への名称変更を図った連中はこの事実に目をそむけ、家事労働の商品経済化以前の懐かしの良妻賢母にノスタルジーを感じている連中だ。

 時計の針を押し戻そうとする極端なアナクロだ。

 したがって、そこから出てくる政策が現実的な有効性を持つことはありえないのだが、だからといって安心していることはできない。

 最終的に彼らの政策が朽ち果てるまでに、負う必要のない責任に多くの女性がさいなまれることになり、救われるべきこどもたちが救われないまま放置されることになってしまうからだ。

 一時金を何十万とか払うというレベルの問題をはるかに超えた重大問題である。

 

 「こども庁」あるいは「こども家庭庁」という名称は法律事項であり、国会審議の対象となる。

 心ある、そして現実感覚をしっかり持った政治家諸君には、「こども庁」から「こども家庭庁」への名称変更の問題を奇貨として、ノスタル爺議員とノスタル婆議員に激しい論戦を挑み、そのナンセンスを国民の前に明らかにしてもらいたい。