2021年9月26日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第425回です。
【俳句】
過疎村の・青空睨(にら)む・捨案山子(すてかかし)
(鴻巣市 清水基義)(大串章選)
(捨て案山子は仰向けにぶっ倒れているのだ。すさまじい。)
洗濯機・「終はりました」と・秋の声 (武蔵野市 相坂康)(高山れおな選)
(機械の音声が旧仮名とされた妙。)
人去れば・たちまち暮るる・花野かな (長野市 縣展子)(稲畑汀子選)
(因果関係を逆転させた妙。)
【短歌】
畔草を・刈って仔牛と・遊びをり・買はるる仔牛・名前つけずに
(津市 中山道治)(佐佐木幸綱選)
(情が移るのを避ける、ということがある。)
せんせいは・咲いた朝顔・だけ見てた・咲けないあさがお・こっそり泣いた
(福井市 野原つむぎ)(永田和宏選)
(早熟とも思える譬喩による批評。)
刺す如き・目の並びいる・囚徒の・前を急ぎて・母との面会
(名古屋市 西垣進)(馬場あき子選)
(この歌で前週の疑問が解けた。監獄での歌だったのだ。)