2021年9月12日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第423回です。
【俳句】
午前午後・同じやんまと・擦れちがふ (東京都 望月清彦)(高山れおな選)
(自然と一体になるとこういう経験をする幸運に恵まれる。)
水撒いて・をれば子供が・濡れにくる (宇部市 萬洋子)(高山れおな選)
(「棚ぼた」みたいな喜び。)
楽しめる・ほどの貧乏・冷奴 (香川県琴平町 三宅久美子)(長谷川櫂選)
(こういう経済政策を打ち立てる、センスのある政治家はいないものだろうか。)
さみしうて・人は案山子(かかし)を・こさえけむ
(彦根市 阿知波裕子)(長谷川櫂選)
(さもあらむ。)
【短歌】
このひとが・寄り添うことなど・ありえぬと・誰もが思った・広島の朝
(高崎市 小島文)(永田和宏選)
(スガ首相を静かに、きびしく、詠っている。)
ねえふうちゃん・おばあちゃんも・勝ちたいの・衰弱は無理・ババ抜きにして
(市川市 石山セツ子)(高野公彦選)
(「衰弱」は「神経衰弱」のことでありつつも、「衰弱」それ自身の意味も生きる。「ババ抜き」もまた同じ。)