2021年9月5日 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第422回です。

 

 

【俳句】

 

 

万緑や・独り残され・峡(たに)に住む (田川市 白川喜美子)(大串章選)

 

 

(淋しさではなく、誇らしさを感じる。)

 

 

身形(みなり)良き・人の物乞ひ・秋暑し 

                                         (ドイツ ハルツォーク洋子)(高山れおな選)

 

 

(繊維製品の低価格化によって貧困者を外見では判断できない時代。世界中、同じ。)

 

 

黴(かび)の部屋・黴(か)びたる男・籠(こも)りおり 

           (西海市 前田一草)(高山れおな選)(長谷川櫂選)

 

 

(自虐は詩になる。どうしてだろう?)

 

 

物売りが・皆美しき・祭の夜 (立川市 笹間茂)(長谷川櫂選)

 

 

(与謝野晶子と林芙美子を想起。与謝野の「今宵逢う人皆美しき」と林芙美子が三茶に下宿しながら夜店で物売りをしていたことから。)

 

 

【短歌】

 

 

アルバムに・貼れない写真が・一番の・私の思い出・だったりします

                   (東京都 上田結香)(永田和宏選)

 

 

(「ですます調」でなければならないということがあるんですね。)

 

 

この夏も・10と4個の・無精卵・生みし草亀・瞑想に入る 

                 (蓮田市 斎藤哲哉)(馬場あき子選)

 

 

(動物に「感情」にあたるものはあるのだろうか?小生も亀を飼っているので気になる。)

 

 

トンネルを・抜けてトンネル・束の間の・山陰海岸・夏雲の峰 

                  (出雲市 塩田直也)(佐佐木幸綱選)

 

 

(その束の間の浜ごとに集落があり、人々が張りついて生きている。「夏雲」ではなく「夏、雲の峰」と読みたい。)