2021年8月22日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第420回です。
【俳句】
空蝉の・踏まれて五輪・始まりぬ (東京都 吉竹純)(高山れおな選)
(こういう俳句がうまいと思う。五輪の非人間的・ブルドーザー性が季節感まで入れて見事に詠み込まれている。)
冷蔵庫に・眼鏡があるよ・お父さん (東京都 青木千禾子)(高山れおな選)
(お父さん、半日ぐらいは探してたのではないか。自分の認知症を疑いながら‐‐。)
【短歌】
教科書に・訳わからぬままに・墨塗りて・わが戦後始まり・七十六年
(千葉市 野崎耕二)(馬場あき子選)
(「戦後の思い出」というテーマで、今、詠み合ったら面白いと思う。昭和20年代、30年代などと区切ったりして。西暦の区切りのほうがいいかも。)
さらさらと・つむじのあたり・撫でてゆく・手は重いのだね・愛する父よ
(横浜市 米花柚子)(佐佐木幸綱選)
(「手は重いのだね」の受けとめ、「ね」の字余りの語りかけ、が多くを語る。)