2021年8月8日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第418回です。
オリンピック最終日、今、マラソンが走っているところのはずですが、こちらの報告のほうを選びました。
【俳句】
蚊ひとつに・敵(かたき)のごとく・対(むか)ひたり (長野市 縣展子)(稲畑汀子選)
(この句から人間の本質を読み取るのは、読み取り過剰だろうか?)
山ひとつ・海に流して・梅雨明ける (日立市 加藤宙)(長谷川櫂選)
(2021年の梅雨を詠いきった、お見事!)
【短歌】
なし。
多くが時事問題(新型コロナ、オリンピック、首相のていたらく等)を、当然ながら批判的に、取り上げている。
中には、なるほど、うまい表現だ、というものもある。
しかし、その視点に、ユニークを感じさせるようなものは見当たらない。
報道番組のコメンテーター並みのものばかりだ。むなしさを感じる。
むずかしくはあろうが、短歌の世界から時事問題を扱うものは、例えば「狂歌」として独立させたらどうだろうか。
五七五七七という定型が導き出す、ある態度、視点、情緒というものがあるはずだ。
それを育むせっかくの力を短歌が失ってしまうのではないかと心配する。