2021年3月28日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第399回です。

 novさんのさし絵は「3月26日は犀星忌」。

 さし絵中に犀星の句「紅梅生ける・をみなの膝の・うつくしき」。

 

 

【俳句】

 

 

雛の夜・バーのお通し・雛あられ (大阪市 眞砂卓三)(高山れおな選)

 

 

(自粛でさびしいお店の小さな、小さなはなやぎ。)

 

 

権禰宜(ごんねぎ)と・婦警が走る・春祭 

                                        (さいたま市 藤井健治)(高山れおな選)

 

 

(組み合わせのアンバランスが滑稽。共通点は2人は若い。)

 

 

春の夢・あの世の下見・してゐたり (箕面市 菖蒲哲郎)(大串章選)

 

 

(内容は他言をはばかるか?)

 

 

春一番・寡言実行・照ノ富士 (東京都 三田憲二)

 

 

(このお相撲さん、大偉業を成し遂げるのに、いつも謙虚。)

 

 

【短歌】

 

 

正規にも・妻にも母にも・ならなくて・わたしはわたしと・言えないでいる 

           (北九州市 川野佳奈)(佐佐木幸綱選)(高野公彦選)

 

(わたしは歌人と言えばいい。)

 

 

フレコンの・脇は通らぬ・聖火リレー・復興とは何・置き去りの町 

                  (須賀川市 伊東伸也)(高野公彦選)

 

(あのリレーは全国低級精神リレーと見える。)

 

 

緩(ゆる)めれば・増えて締めれば・減るという・当り前なる・コロナ禍の日々

                          (枚方市 大田敏一)

 

(努力を求める毎日のニュースが実にむなしい。)

 

 

泳ぎおれば・あれ何処(いずこ)より・突然に・潜水少女・眼下過ぎ行く 

                          (福山市 長田恵三)

 

(低速老人スイマーの僥倖なり。)

 

 

おととしは・序二段 去年は・十両で・大関の春・照ノ富士、今 

                          (鳥取市 広田久五)

 

(祝!大関昇進。照ノ富士の下の名前は「春雄」だ。)