2021年2月28日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第395回です。
novさんのさし絵は「2月25日は茂吉の忌」。変体仮名の茂吉の歌が描き込まれている。
「ふりさけて峠を見ればうつせみは低きによりて山をこえにき」
【俳句】
あの世から・来ている顔の・日向ぼこ (八幡市 小笠原信)(高山れおな選)
(この世の人の半分ぐらいはあの世から来ている人と考えてみると面白くなってくる。)
ほほゑみを・たやさぬ象に・春来たり (川口市 青柳悠)(長谷川櫂選)
(言われてみると確かにいつもほほえんでいる。何でだろう?)
おでん種・ちくわの穴が・うまいのだ (高松市 山内聡)(長谷川櫂選)
(納得できてしまうのは何でだろう?)
寒月の・心を射ぬく・白さかな (藤沢市 了戒純一)(大串章選)
(射ぬかれる側も寒月化している。)
【短歌】
知らなくて・いいことまでも・知りさうで・父の遺品は・手つかずのまま
(相馬市 根岸浩一)(永田和宏選)
(我が身によって亡父を推定している。)
胸つぶるる・ものとして聞く・深海の・ダイオウイカが・生きて捕まる
(東京都 松本知子)(馬場あき子選)
(ニュースはめずらしさを報道するだけだったが、してはいけないことをしてしまっているような感じを残すニュースだった。)
挨拶は・「今日も雪かき・大変で」・それでも人は・津軽離れず
(五所川原市 戸沢大二郎)(高野公彦選)
(津軽を誇っている歌なのだ。)