2021年2月7日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第392回です。

 novさんのさし絵は「大寒に春大根抜く」。

 

 

【俳句】

 

 

空晴れて・これぞ建国・記念の日 (高槻市 小島公子)(稲畑汀子選)

 

 

(建国記念日にこんな心理的必然が生まれるようになってしまったのか。設定されて50年余、国家の企み、怖ろしい。)

 

 

花の春・もう先見えて・まだ凡夫 (東京都 髙木靖之)(長谷川櫂選)

 

 

(凡夫に居直る凡夫かなしも。)

 

 

天帝に・召されし凧を・なほ惜しむ (松江市 三方元)(長谷川櫂選)

 

 

(とんでもなく高くまで上がって、公園にいた人たちがみんな驚いた、その凧がついに糸が切れて飛んで行ってしまったことがあった。30年以上前のことだ。)

 

 

珈琲に・うるさくなりし・受験の子 (伊万里市 萩原豊彦)(長谷川櫂選)

 

 

(評価されるばかりで、評価する立場になるのはこの時ぐらいとなるからだ。)

 

 

【短歌】

 

 

三が日・レタス植えおり・コロナ禍に・母国に帰れぬ・実習生が 

         (観音寺市 篠原俊則)(馬場あき子選)(佐佐木幸綱選)

 

 

(心のもって行き場がなくて詠う、この短歌のように迫るものがある歌が、歌壇に少ない。)