2020年11月29日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第383回です。

 今回の「nov.」さんのさし絵は「そろそろ顔見世用意」。今年は「コロナでどうなる?」という顔見世ですね。

 

 

【俳句】

 

 

凩(こがらし)や・マチスのやうな・木葉(このは)の舞 (川越市 岡部申之)(長谷川櫂選)

 

 

(「木葉の舞のようなマチス」とも考えられ、ある種の転倒。)

 

 

栗拾ふ・弥生の人に・思ひ馳せ (米子市 中村襄介)(大串章選)

 

 

(ここは「縄文」としたい。縄文に栗栽培があったというのが最近の考古学の成果のはず。)

 

 

熱燗や・バブルを語る・地下酒場 (越谷市 新井高四郎)(大串章選)

 

 

(肯定的に語るにしろ、否定的に語るにしろ、役に立たないノスタル爺。)

 

 

良き友を・捨てて淋しき・すがれ虫 (桐生市 田本尚五)

 

 

(良き友の判別ができない権力者がたどる道だ。)

 

 

【短歌】

 

 

大阪は・大阪市のまま・夜があけて・うどんに落とす・柚子(ゆず)のひとひら 

                                 (大阪市 上床順子)(永田和宏選)

 

(静かになって、まずはようござんした。)

 

 

給食費・忘れたことに・するんだよ・母は言いにき・七十年前 

                                 (豊田市 近藤敬二)(永田和宏選)

 

 

(こどもながら、親の必死のただならぬ気配が、ずっと記憶に残る。)

 

 

友だちを・たくさん作れと・言う人よ・まずその人を・友から外す 

                               (安中市 岡本千恵子)(永田和宏選)

 

 

(人を知らぬ人ゆえ、ということか。きびしい。)

 

 

トランプの・話す英語は・分からぬが・美しくない・ことは感じる 

                               (観音寺市 篠原俊則)(永田和宏選)

 

 

(下品、卑しい、INDECENCYをアメリカ人は感じないのだろうか。)

 

 

押印・廃止掲げたが・答弁は・判で押した・ような繰り返し 

                               (川越市 岡部申之)(佐佐木幸綱選)

 

 

(そもそも押印廃止を政治的成果と誇るところからして間違っている。)