2020年11月7日

 

 学術会議任命拒否問題、野党からの質問だったら絶対に認めないであろうことを、自民党からの質問のときに、気のゆるみがあったのだろう、スガ首相はみずから明らかにしてしまった。

 会員任命についての事前調整をかつては行なった。今回はそれがなかったために任命拒否が発生してしまった。と、こう言ってしまったのだ。

 任命拒否が発生した原因は自分にはなく、事前調整に応じなかった学術会議に責任があると、学術会議を非難するつもりだったのであろう。

 もうここまで言ってしまうと、事前調整によってOKをとっておかないかぎり、任命はしないという考えがあったことを宣言しているに等しい。

 学術会議の独立性確保の必要性という学術会議法の本質をスガ首相が理解していないことを、いささかのためらいもなく、天下に発表してしまったのだ。

 スガ首相が任命拒否の本当の理由を隠すために残っているカードは、「個別の人事については答えられない」という薄っぺらな1枚だけになってしまった。

 しかも、自分の本で、人事権を振り回して官僚をコントロールした個別の人事のことを、得意になって披露しまくっており、そのカードの有効性はかなりあやしい。

 カードがなくなればゲームセット、その遠くはないゲームセットがどのようなかたちになるのか、政界の関心はもはやそちらに移りつつある。

 野党が一気に攻めたててスガ首相を血祭りにあげるか、じわじわと攻めて衆院選挙まで内閣支持率、自民党支持率を低下させていくか、イニシアティブが野党に回っている。

 スガ内閣に見切りをつけた自民党内での動きもすでに始まっていると考えられる。すばしっこい連中は衆院解散時期の与野党談合も考えているはずだ。

 「民主主義の本質」の無理解を背景にした、スガ首相のソコツ、取り巻きの注意不足が招いた事態である。

 東京オリ・パラの時の総理大臣が誰だか、わからなくなってきた。