2020年9月27日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第374回です。
今回の「nov.」さんのさし絵は「9月29日は招き猫の日」。表彰台に乗る3匹の猫、1匹はVサインをしている。遊ばずにはいない方だ。
【俳句】
霧深し・推理小説・めく洋館 (西宮市 近藤六健)(稲畑汀子選)
(「推理小説」という言葉を考え出したのは、木々高太郎、本名林髞、人生二度結婚説を唱えた人。)
夏果てて・マスクの跡の・残りけり (東京都 長谷川瞳)(長谷川櫂選)
(不思議な色っぽさ。)
【短歌】
おばあちゃんの・お手玉は怖い・数え歌・「四んでも尽くすは・日本の兵」と
(東京都 上田結香)(永田和宏選)(馬場あき子選)
(「殺して尽くす」は「五ろして尽くす」となるか?戦意高揚の上でその怖さは避けられているのだ。)
この夏に・「棄民」って・言葉二度聞きぬ・残留孤児と・福島の人
(和歌山県 石垣多鶴子)(馬場あき子選)
(日本中「棄民」と「棄民候補」ばかりと感じる。)
南海の・砂浜に寄る・サンゴ見て・父の遺骨と・して持ち帰る
(堺市 勝田昌子)(馬場あき子選)
(気持ちをおさめることの必須。しかし、おさめられない場合もある。)
小結に・卒寿の母は・昇りたり・施設の壁に・長寿番付
(豊川市 河合正秀)(馬場あき子選)
(昇りしかない、降りはない番付。しかし、昇りをおめでとうとは言えないのではなかろうか。)