2020年8月23日

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第369回です。

 今回の「nov.」さんのさし絵は「地蔵盆」。

 

 

【俳句】

 

 

目薬に・目玉を回す・今朝の秋 (下田市 森田幸平)(長谷川櫂選)

 

 

(猛暑から逃れた余裕をこう表現したと読んだが、どうだろうか?)

 

 

風鈴の・身近となりし・余生かな (八代市 山下しげ人)(大串章選)

 

 

(それまで聞こえなかった音が聞こえてくる。)

 

 

踏切を・老女と渡る・日傘かな (中間市 恵英次郎)(大串章選)

 

 

(日傘が独立している生きもののよう。)

 

 

【短歌】

 

 

誕生日・祝う歌声・ハミングで・ロウソク8本・団扇(うちわ)で消した

                   (草加市 大原悦子)(高野公彦選)

 

 

(何かやけくそな感じがさわやか。)

 

 

縦長の・枠に囲われ・オンライン・遺影にかも似る・パネリストたち 

                  (横浜市 折津侑)(永田和宏選)

 

 

(オンライン飲み会は「生前集団お通夜」「一期一会」と思うべし。)

 

 

客足の・伸びねど一応・客足の・ありて早朝・子は出勤す 

                 (松山市 宇都宮朋子)(馬場あき子選)

 

 

(この律儀が日本資本主義を支えている。)

 

 

若き日の・短距離走者・特養の・白きズックを・母は愛せり 

                  (佐渡市 小林俊之)(馬場あき子選)

 

 

(青春の栄光をよみがえらせてくれる一品。そういうのを並べた棚を作っておくということも考えられる。「プライベート博物館」。)