2020年8月16日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第368回です。
今回の「nov.」さんのさし絵は「灯籠流し」、灯籠に書いてある字は読めないが、「nov.」さんの何かメッセージが書いてあると思う。
【俳句】
ハンカチを・タオルに替えて・出掛けねば
(宇佐市 熊埜御堂義昭)(稲畑汀子選)
(暑いとも何だとも書いていないところがいいわけだ。)
人生も・終盤取り敢えず・ビール (栃木県壬生町 あらゐひとし)(長谷川櫂選)
(本格なしであの世へおさらばもよしと考えている。)
かき氷・真赤な水と・なりにけり (新座市 五明紀春)(長谷川櫂選)
(この何でもなさの深さ、広さ。秀句!)
軍服を・脱げぬ胸像・梅雨の闇 (所沢市 岡部泉)(大串章選)
(「軍」の生活感覚とのズレ、不気味さ、まがまがしさ。)
昼寝より・覚めて遺影に・見られけり (長野市 縣展子)(大串章選)
(いつもと違う場所での寝覚め、これまた多くを語る。)
金魚から・見れば律儀な・男なり (栃木県壬生町 あらゐひとし)(高山れおな選)
(他人からの評価など運不運の問題にすぎない。「それでいいのだ!」とバカボンのお父さんが言ってくれる。)
飛び魚の・大脱走の・ごとき群れ (八幡市 小笠原信)(高山れおな選)
(あれは本当に大脱走なのではないか。)
【短歌】
亀が死に・亀を世話した・子は巣立ち・小さな亀の・墓に雨降る
(名古屋市 磯前睦子)(馬場あき子選)(佐佐木幸綱選)(永田和宏選)
(筆者も捕まえた亀の世話をしております。)
甲子園も・修学旅行も・総体も・我慢の子らが・GoToを問う
(西条市 村上敏之)(高野公彦選)
(短歌としての評価は別として、内容的にまったく「然り」!)
大学の・課題一緒に・やる友が・できて帰り道・虹までも見て
(富山市 松田わこ)(高野公彦選)
(目的の共有者を得た喜び。人間の喜びの本源的なものだ。)
本当の・友達だったら・訃報にすぐ・長々コメント・なんかできない
(東京都 上田結香)(永田和宏選)
(「巧言令色、少ないかな仁」。しかも芸能事務所作成の疑いもある。)