2020年5月3日

 

 

朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第353回です。

 

 

【俳句】

 

 

感染の・かくれんばうの・山笑ふ (福島県伊達市 佐藤茂)(高山れおな選)

 

 

(俳壇選者の評に「国破れて山河笑うか」とあり。大自然にとってみれば、感染で「国破れる」ことなど「小事」。)

 

 

水切りの・父子の姿や・春夕焼 (加古川市 森木史子)(高山れおな選)

 

 

(父子の遊ぶ姿となると、この時期、コロナ休業と思う。コロナ終了後もあってほしい景色。)

 

 

朝まだき・瑠璃の濡れ咲く・いぬふぐり (西宮市 黒田國義)(稲畑汀子選)

 

 

(踏みつぶしてしまうような咲き方だが、しゃがんで見れば宝石がばらまかれている。)

 

 

木の芽雨・てふ明るさの・山にあり (島根県邑南町 服部康人)(稲畑汀子選)

 

 

(まもなくの新緑を予感させる明るさを山がはらむ。)

 

 

【短歌】

 

 

人絶えて・鴉が桜・啄(ついば)める・地球最後の・昼下がりのごと

                 (東京都 佐藤幹夫)(馬場あき子選)

 

 

(桜の狂気、鴉の不吉、無人空間、終末感が漂う。)