2020年4月26日

 

 

朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第352回です。

 

 

【俳句】

 

 

鶯や・時を止めたる・ひと呼吸 (大阪市 友井正明)(稲畑汀子選)

 

 

(鶯がよく鳴く。よく鳴くが、リズミカルというわけではない。不規則な静止がある。)

 

 

断崖に・初蝶の影・とまどへり (熊谷市 内野修)(大串章選)

 

 

(生れ出て、あまりにも巨大なものに出くわして驚いている。あまりにもか弱きものに出くわした断崖のほうのとまどいとも解釈できる。)

 

 

総理から・届いたマスク・はめてみる? (東京都 鈴田慶三)

 

 

(ただのマスクにすぎないはずだが、素直にはめていいものか、躊躇がある。)

 

 

【短歌】

 

 

夜学証・見せて定期を・買う父は・駅員驚かす・中学生なり 

(寝屋川市 今西富幸)(馬場あき子選)

 

 

(父親を誇りにする子供の姿がすがすがしい。)

 

 

目のかぎり・広がる春の・ぶどう棚・雲の影のみ・ゆっくり移る 

(アメリカ ソーラー泰子)(佐佐木幸綱選)

 

 

(おだやかで広大な景色を享受できる幸せ。)

 

 

振り向けば・先生猶(なお)も・見詰めおり・荒れにしわれらの・卒業の日に 

(横須賀市 森田行光)(永田和宏選)

 

 

(生徒のほうでも振り向かずにはいられない気持ちがあったのだ。)