2020年4月5日

 

 

朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第349回です。

 

 

【俳句】

 

 

年ごとに・見えてくるもの・花にあり (長野市 縣展子)(高山れおな選)

 

 

(ああ、そうだなと共感しつつ、「ある」とは何か、を考えさせる哲学的内容をはらむ、などとも思う。)

 

 

咳をしたら人目 (長久手市 中村幸平)(高山れおな選)

 

 

(尾崎放哉の自由律俳句に「せきをしてもひとり」がある。)

 

 

水温む・休校の子の・糸垂らす (大阪市 友井正明)(稲畑汀子選)

 

 

(コロナ禍を歌うもの数あるが、これぐらいがいい。)

 

 

【短歌】

 

 

春霞・「無人春日長」・守一の・書をながめつつ・春の酒飲む

 (川口市 重近徹)(佐佐木幸綱選)

 

 

(これはコロナ禍を歌ったものかわからないが、コロナ禍の下での人の良き在りようを示す。)

 

 

「また会える・のを楽しみに・しています」・弱くなりたる・母の筆圧 

(丸亀市 金倉かおる)(高野公彦選)

 

 

(これはコロナ禍を歌ったものではないが、コロナ禍への対応がずいぶんと多くの人の別れを強いていることに思いが向く。)