2020年2月9日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第341回です。
【俳句】
幸せな・女に見える・コート欲し
(姫路市 三浦鈴子)(長谷川櫂選)(高山れおな選)
(コートを選ぶより背筋を伸ばすのがいいのでは。)
木の枝に・忘れてありし・冬帽子 (尼崎市 ひじり純子)(高山れおな選)
(最も早期の春近しを感じさせる句。)
【短歌】
腹筋を・鍛へてをれば・隣家の・屋根の鴉(からす)と・眼が合ひにけり
(横浜市 我妻幸男)(佐佐木幸綱選)
(わずかに視点を変えるだけでいろんなものが見えてくる、いろんな出会いが生じる。)
晩酌の・傍らにいて・いつまでも・絵を描きており・四つの息子は
(徳島市 秋田廣幸)(佐佐木幸綱選)
(もしかすると息子さんは早逝されたのでは---。まちがっていたらすいません。)
一時間・下拵(したごしら)へし・三時間・煮込みしおでん・十分で食ぶ
(仙台市 坂本捷子)(高野公彦選)
(人生、過程を楽しむほかなし、というか、それが人生。)
陽だまりの・校門静か・プレートに・原発からの・距離書かれおり
(藤枝市 菊川香保里)(高野公彦選)
(我々の日常を支える秩序はかくもはかない。核戦争までの時間を表わす時計というのもある。財政破綻時計も考えられるべきだ。)