2020年1月26日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第339回です。
【俳句】
老友と・年酒の果ての・死の話
(尼崎市 田中節夫)(稲畑汀子選)(長谷川櫂選)
(特別のことではなく日常のことだ。)
いたはりの・余韻一日・初電話 (札幌市 近藤由香子)(大串章選)
(ほんの小さな一事、それを頼りとして生きている、というのが普遍的現実だ。)
病み臥しの・命かみしめ・冬桜 (玉野市 北村和枝)(大串章選)
(植松聖にこの境位、人に普遍的なこの境位を知らしめよ!)
【短歌】
「糸口は・必ずあります・一つだけ」・繭を手に説く・製糸場のガイド
(東京都 上田結香)(永田和宏選)
(製糸場のガイドの身ゆえ、この製糸場がどこの製糸場か気になるところ。日本に数か所しかない。)
山裾の・小さな家に・一人住み・めぐまれし餅を・一個だけ食ふ
(愛媛県 藤井擴)(佐佐木幸綱選)
(「一」に徹して心豊かなり。)
一本の・木から彫り出す・仏像の・ごと、吾子なりき・遺体ひき取る
(河内長野市 平岡章子)(佐佐木幸綱選)
(あまりと言えばあまりの大事件、せめてもの救いにその姿がある。完全なる霊肉二元論になれない日本人的な心情とも言える。)